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2007年3月12日 (月)

経済力ショック

 40ウン年生きてきて、初めて日本を出て、外から日本を見たわけだけど、日本の経済力、科学技術力というものをつくづくすごいなあと思った。

 ホームステイ先での家電は、いわゆる白モノはドイツ製品が幅をきかせていたけど、CDプレイヤーやテレビ、電子レンジは日本製で、ごく当たり前にイングランドに入り込んでいる。携帯電話だって、私のが色もデザインもおしゃれで、カメラが付いているとびっくりされた。現地で見かけたのは黒や茶の地味なものばかりだったから、クラスメイトは私のピンクのを見て「ピンクなんていいなあ」とうらやましがった。デコ電なんて見たら、彼女、叫んじゃうかも知れない。デジカメも日本製の天下。持っているのは、日本人のほか、中国人と韓国人が多かったようだ。そうそう、私の持っていた電子辞書を見て、英語学校の先生が、「自分にも使えるバージョンだったら欲しいわぁ」とため息をついていた。

 通りを歩けば、車も日本車がとても多い。縦列駐車が当たり前のお国柄、小型車が多いのだが、マーチやフィットなどが目立った。ゴルフやアウディもごろごろしている。驚いたのは、パジェロがSHOGUNという名前で走り回っていたことだ。よく見ると、マーチもフィットも名前がちょっと違う。何だったか忘れたが。こうした車や電化製品のおかげで外貨を獲得しているのねとふと思った。

 もっとも心に響いたのは、知り合いになった人の言葉だった。ちょうどケンブリッヂに友人を訪ねてきたというマラウィ出身(アフリカ中部)の女の子と知り合いになった。彼女は出稼ぎでロンドンのどこかの屋敷で住み込みで働いているらしかった。海外青年協力隊の日本人が学校にも来て算数を教えてもらったとかで、「おはよう」「こんにちは」という日本語を知っており、日本人に好感を持っている様子だった。私は興味から、「日本食は食べたことある?どんな食べ物が好き?」と聞くと、「食べたことはないわ。私には好きなものを食べるような選択の余地はないのよ…」と応えた。確か彼女は、「I have no choice.」と言った。

 当時の私は、そうしたフレーズの意味の強さはあまりわからない会話レベルだったが、それでも、とても強い意味の言葉ということはすぐわかり、言葉に詰まった。彼女は穏やかに笑っていたけど、その裏にどんな思いを秘めていたことだろう。深い考えもなしに質問した自分を、とても恥ずかしく思ったし、いまも「何て失礼なことを聞いたのだろう」と後悔している。

 彼女はただ貧しい国に生まれ、私はただ日本という国に生まれただけと思えた。テレビや新聞で、また教科書で、豊かでない国の人々のことや暮らしを見聞きはしているけれど、好きなもの、興味のあるものをあれこれ食べてみるという私にとっては疑ったことのない行為が、人によっては選ぶことのできない贅沢だとは……考えたこともなかった事実。

 そうした現実を知ってから、日本はいかにがんばったのか、追いつけ追い越せと必死になってきたかの道のりがどれだけ険しいものだったか、そしてこれからの道の険しさも変わりはなく、自分はその流れの中で、幸いな毎日を送っているに過ぎないんだと思う。

 彼女はいまどういう生活を送っているだろう。彼女に生活レベルを上げるチャンスはあるのだろうか。クレジットカードも持っていなかった。

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