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2009年4月28日 (火)

TN君の伝記

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TN君の伝記

幕末から明治にかけて世に出た、実在の思想家、TN氏の半生を追う形で、当時の政治、政府、民意などをTN氏の視点で説明しています。大人というより、どちらかというと中学生、高校生向けの本として紹介されている、とても読みやすい文章です。(アマゾンで調べたら、小学生高学年以上となってました!!)

読んでみて驚いたのが、いまの政治と、当時の政治と、ちっとも変わっていないと思うほど、政治が進歩していないことでした。思わず、明治という時代を通して現代の日本の政治を批判しているのかと思うほど。しかし、本の発刊は1976年なのです。

私にとって、明治政府を起こした人物は、勇気があり、日本のいまの礎を築いた、前向きで英雄的なイメージなのですが、この本では、NT氏の目を通し、明治政府が起きる当初から、政治家たちの自分の都合を最優先している思想や、狡猾さ、そして大衆が政治家によって主権が与えられたように思わされながら、実は、しっかりと政治家が権力を握って譲らない様を描いています。地方に対しても執拗に、権利を委譲しようとしない。当時のTN氏の嘆き、怒りが伝わってきます。

もちろん、すべてこのとおりだったかは誰にもわからない。ただ、あまりにもいまの時代の話かと思うほど、日本人個人の中に民主主義が育っていないままであること、育たないようにコントロールしているのではと思うほど政治家が巧みに政策を利用していること、政治家が自分たちの利権ばかりを優先している事実、そして、それに大衆が動かない現実が同じなのです。

昨年、住んでいるマンションで、明らかに自分たちの不利益なのに、反対意見を言わない、また、知ろうとしない住民たちの態度に、半ばあきれると同時に、実は、日本人は、そうやって自分たちが立ち上がらないように育てられているのではないかと思ってしまいました。

生かさぬよう、殺さぬようとはよく言ったもので、本当に日々の生活に困るところに追い詰められない限り、人間は動かない。そのぎりぎりのちょっと手前のところに多くの日本人が収まるよう、税金や政策など、コントロールされているように感じて仕方ないのです。だって、国民の大方が、いろいろなことに気づいても、いま困らず、ちょっとした小銭が手元にある生活を感じることができれば、面倒ゆえ、動かず、文句を言わない納税者のままだと思うから。しかも、日本人には、民主主義を勝ち取ってきた歴史がない… しょっちゅうデモやストライキをするフランス人とは、国民の意識が、歴史の面で全然違う。

うがった見方過ぎるかも知れないけど、いまの政治を見ていると、国の将来や国民のことを考える政治家など、実は誰もいないのではと思ってしまう。かと言って、私自身、前に出る勇気もない。カッコ悪いですね。

結局、TN氏は、よりよい政府を作りたいと熱望しながら、その金策に追われ、結局、時代に飲み込まれて身を持ち崩してしまいます。ちょっとやるせないラストでした。

中学・高校生向けとはありますが、いやいや、現代の政治に対して感じるものが多い大人こそ、伝わってくるものがあると思います。

もちろん、多感で歴史に興味がある中・高校生が読めば、教科書では触れない歴史の見方の中に、社会の矛盾や人間の本質、歴史は時代の都合によって書き換えられている事実を見つけ出してくれることでしょう。

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コメント

はじめまして。nanaco-bookwormと申します。こちらのTN君の伝記のレビューに共感させていただいたのでツイートしました。事後状駄句で申し訳ありません。もし、ご都合が悪かったらすぐ削除するのでご連絡下さいませ。

追伸です。
たびたび申し訳ありません・・・。事後承諾の文字変換が、あまりにも変な誤りをしていることに今気付きました。ごめんなさい。お詫び申し上げます。

ツイートとは光栄です。イマイチ仕組みがわかっておりませんが…

昨年は、気持ちに余裕がなく、ブログは放りっぱなしでした。今年こそ内容を充実させようと正月休みから帰ってきたところに、nanaco-bookwormさんからのコメント。古いものなのに、読んでいただいてありがとうございます。

nanaco-bookwormさんのブログも見せていただきました。コツコツと続けていらっしゃる、あたたかみのある内容ですね。私も少しでも続けようと思いました。そちらのブログにも時折お邪魔させていただきますね。

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