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2012年2月21日 (火)

お疲れさまでした

光市の殺人事件の結論が出た。あまり裁判には関心が高くない方だけれど、この事件は行方がとても気になって、この十数年、犯人への憎悪を感じながら結審を待っていた。事件そのものの卑劣さ、残忍さが衝撃だったが、私にとて最も印象に残ったのは、被害者遺族の本村氏の態度だった。

事件当初、彼は20代前半。その若さに反比例するかのような、冷静を努めようとする態度や言葉の選び方に、それまでのいろいろな事件の被害者家族とは違う空気があった。時間が経過し、裁判が無意味な様子になっていくに連れ、彼の言葉や態度は、しごくもっともで、だけど、どうしてそれをきちんと続けられるのか、貫けるのかに驚かされた。

彼の行動を記した著書、「なぜ君は絶望と闘えたのか」のタイトルはまさにその通りだと思う。実はまだ読む勇気がなく目を通していない本だ。

私の配偶者があんな被害にあったとき、私はあのような態度を取れるだろうか、社会や司法を動かすまでに強く意思を秘めて貫けるのだろうか、精神が壊れないのだろうか… あの事件が取り上げられるたび、何度も思った。家庭を持つ身として。そして私よりはるかに若い彼が、なぜあんなに毅然としていられるのか。私だったら諦めてしまうだろうと思った。

折れなかった、壊れなかった彼の強さ。でも強くあろうとしたというより、そのときにすべきことを必死に踏みこたえてきた積み重ねなのかも知れない。そして、それはとても特別のことじゃなくて、本来は、家族を守るというごくごくまともな感情の筋を通したことに過ぎないのかも知れない。でも、いま、人間として当たり前の感情を貫き、非常識を変えさせるのはどれだけ大変なことか。身近にありそうでない強さ。こんな夫を持った弥生さんは幸せな人だなと思ったけれど、こんな夫にしたのは彼女でもあるのだろう。心から冥福を祈る思いだ。

「犯罪はすべてが敗者」…記者会見でも彼の言葉を聞いて、人はなぜ罪を犯してはいけないのか、人を殺してはいけないのかが腑に落ちた思いだった。頭ではもちろんわかっていたつもりだったけれど。彼の悲しみはこれで終わりではなく、別の思いが恐らく始まるだろう。負の連鎖は断ち切れず、人生をかける長い時間が必要となる。

結審したことに、お疲れさまでしたと伝えたい。単なる傍観者だけれど。少しでもかつての幸福を感じる人生を取り戻して欲しいと思う。

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