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2013年5月31日 (金)

庖丁を研ぐ

梅雨に入り、少し湿っぽい天気の先日、ずっと気になっていた庖丁砥ぎをした。本当は晴れた日にするべきだったんだけど。

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面倒くさがりの私が、料理をする気持ちが重くなる原因の一つに、庖丁が切れなくなっているということがある。急いでいるのに、鶏肉の皮が切れなかったり、トマトの皮の中に庖丁がめりこんでトマトがグズグズになると、本当にイライラする。

以前、栗原はるみさんの著書の中に、“わけもなくせん千切りが好きで”というテーマで料理が何品も掲載してあり、心の中で、「料理好きな人は、こういうこと面倒に思わないんだぁ」と感心したものだ。

たぶんそういうこともきっかけとなり、いくつか簡単な庖丁砥ぎ器を買った。が、なんか続かず、いつの間にか庖丁砥ぎ器が使う気がしない状態になり、庖丁を砥がなくなった。で、当時、マメに実家に帰ったので、父によく砥いでもらってしのいでいた。しかしその父もなくなり、いよいよ私は不精になった。

そこへの救世主がわが仕事。道具の扱いというテーマで、日本料理の先生に、様々な調理道具の手入れを取材し、それをまとめる本を作ったのだった。当然、庖丁の手入れはトップ項目。砥ぐということを身近に学ぶ機会を得たのだ。

庖丁も砥石も、家庭用のものとプロのものではモノが違い、簡単に真似はできないが、とにかく、職人は道具に熱い思いを持っている。料理人ならその象徴は庖丁。話を聞くだけでアッチッチだった。

購入したらすぐ、庖丁の刃が差し込んである柄の部分に漆やマニキュアを塗って柄を腐りにくくすること。使ったら、その日に砥ぐこと。砥いだ庖丁は金気くさいので、最低2本は持ち、前日に砥いだ庖丁は使わないこと、使わない庖丁は、半年に一回は取り出し、手入れとして砥ぐこと、砥ぎが上手になるほど、刃の減り方が少なくなることなどなど、深い深い、熱い熱い。話も止まらない。

話をうかがうたびに、ピカピカに砥ぎ上げられた庖丁の美しさを見て、面倒と思っている場合じゃない、私の大事な道具をきちんと手入れできないと恥ずかしいという思いがわいてきて、以来、少しはマメに庖丁を砥ぐようになった。

と言っても、買って来た合成砥石の説明書を読み、その通りにやっているだけで、実のところ、ちゃんと砥げているのかは不明なのだが。(一応、翌日に使うと、よく切れるlovely) 

しかし、父に頼んで砥いでもらった庖丁の包みを開いたときの、あの金属が一枚むけたような輝きはさほど感じない。任せっぱなしにせず、ちゃんと横で見て、やり方を少しでも教わるんだったと、今頃ちらりと思ったりする。

と言っても、きっと、数分でけんかになり、結局教わることはできなかっただろうが。

そうそう、フランス料理のシェフ(日本人)から聞いた話。フランスでは日本式の砥石ではなく、長い金属の棒に庖丁の刃を当てて研ぐ。しかし、日本式の砥石の方が各段に切れ味が上だそうで、一度使って違いがわかると、フランス人のシェフは、日本式の砥石を欲しがるそうだ。でもフランスで売ってないので、フランスで修業中の彼が休暇などで日本に戻るたびに、「砥石買ってきて」と頼まれ、買って持って行くのだそうだ。そこまではよいのだが、フランスの空港で入国する際、「いったいこれは何だ」と質問を受け、毎回説明が大変だったとか。90年代の話。

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