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2013年8月23日 (金)

若冲に会いに行ってきました

先月、東北三県でのプライスコレクションの展示を知りました。日本でプライス氏の所有する若冲の作品が公開されるのは最後だろうという話を聞き、思い切って出かけてきました。

若冲とは…と説明できればかっこいいのですが、私の若冲との出会いは十年ほど前。そのころは若冲の存在や意味や人気を知らず、なんて不思議でおもしろい絵なのだろうと友人と話す程度の知識のまま。

それが急に動き出したのは、2週間前に行った能登の旅で富山市の佐藤記念美術館に立ち寄ったことがきっかけです。そこで江戸時代の大和絵の展覧会をやっており、中で猿と鷹の絵が印象に残りました。若冲の作品はありませんでしたが、若冲とそれらの作家の関わりについて説明があり、思い立って日本美術の本を購入。江戸時代の大和絵を中心とする作品や若冲の記述を読み、すこし心の準備をし、片道400キロの旅に出発したのでした。

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美術館では、開館前に到着。夏休みの平日はどんな様子かと思いましたが、朝一番ならそれほどの混雑ではありません。他県ナンバーが多く、いろいろなところから来ているのだなとわかります。みんな車中で、自分で用意してきたらしい朝食を食べて開館を待ちます。開館20分前になり、入り口に行くとすでに20人ほどの人。通常の美術館より、中高年の男性が多いように感じました。

チケットを買い、中に入ると、最初に、この展覧会の趣旨やテーマの説明がありました。

それを読んでハッ この企画を立ち上げた大きな力になっている辻 惟雄(のぶお)氏は、コレクションの持ち主のプライス夫妻と長年の親交があるとのことで、さらに、私が直前に購入して読んていた、日本美術の本の著者だったのです。しかも私が一番最初に見た若冲の作品の、象と鯨の屏風を持つMIHO-MUSEUMの館長。

私だけのドラマですが、点が線になっていく実感に、気持ちが高揚していきます。

展示室に入ると、テーマごとにさまざまな作者の作品が展示されています。解説は、子供にもわかりやすいようにという意図で、子供に語りかけるような調子。これは大人にもとてもよいことじゃないかな。美術展によっては、学術用語を多用しすぎて、読んもよくわからないことがあります。添えもの程度の短い英語の説明の方が、大雑把ながらもわかりやすくて、解説力の問題なのか、読解力の問題なのかナゾ。

そして、難しいことぬきに、自分で見て感じて楽しんでほしいというメッセージが伝わってきます。作者にこだわらず、自分の気に入ったものを集めるプライス氏の審美眼を大切にしているのでしょう。ガラス張りをなるべく減らし、直接見られるようにしている箇所が多くありました。作品の部分を取り出して拡大したり、クイズ形式にしたり、美術館というより美術作品を使ったアミューズメントパークのような雰囲気を出していました。

作品そのものは、特に若冲のものは、大胆かつ繊細、ユーモアがあり、どこかマイペースで伸びやかで、これまで見てきたファインアートや大和絵とはまるで雰囲気が違います。それらに囲まれると、自分の気持ちまでゆるゆるにやわらかくなっていきます。楽しく、そして夢中で描いたのだろうと、画家の気持ちを想像するのがちょっと楽しい。

とにかく楽しくて自由。

作者が誰で、どんな評価があるかより、作品そのものをまず楽しむというのは、今回の展示で、いつの間にか引き込まれた見方でした。

特に印象に残った猿と蜂をテーマにした絵は、富山でも見覚えがあり、調べてみると、どちらも森狙仙の作品でした。たぶん名前で絵を見たら、逆に気づかなかったかも知れません。自分の感じ方を最優先しないと、大切なものを見落としてしまう…

童心に帰ったようにワクワクした気分になりながら、最後に見た鳥獣花木図屏風からは、大きい力を感じていました。

美術館に着くまでの、浪江町の役場の移転先や被災者の住宅の案内の看板から示される厳しい現実、海外の人が被災地を励ますために提供してくれている善意、江戸時代の作品が目の前でこんなに自分を楽しませてくれているという時間を越えた表現力、それらをぜんぶひとまとめにして、動物たちが美術館を訪れた人の気持ちを和らげるような表情でたずんでいるのです。見る人の感じ方は人それぞれだろうけれど、誰もが、やさしい温かなものを受け取ったのではないでしょうか。

気に入った作品があまりにもたくさんだったので、図説やファイル類を買ってしまいました。本物と比べると少し寂しいものの、あの日のワクワク感を忘れたくない。

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約2時間滞在して駐車場に戻ったら満車で待っている車がいっぱいでした。

日帰りは少し疲れたけれど、きっとずっとずっと忘れない。

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