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2013年10月30日 (水)

ケーキにはストーリーがある

昨日、仕事で出かけた先で、思いがけずケーキをいただいた。「わっ!」と心は踊ったが、ちょうど帰宅ラッシュの時間。どうやって無事に、雨の日、1時間以上の道のり+3回の乗り換えをクリアするか、一瞬困ったなと思う。

結局、満員電車に途中で乗り込むことは断念し、始発駅に戻って座席を確保することにした。ちょうど居合わせたとはいえ、分けてくれた人の気持ち、喜ぶに違いない家族の顔、そして会ったことはないけれど、作ったパティシエの気持ちを考えたら、少しでもカンペキな状態で持ち帰って楽しく味わいたかった。

と同時に、いまごろ、全くいまごろなんだけれども、20年近く前、自分が渡したケーキで、相手にさぞかし迷惑をかけただろうことを思い出した。

デキの悪い自分にコンプレックスがいっぱいで、打ち解けることのなかった優秀な後輩。彼女が退社するとき、甘いもの好きな彼女が大好きだろうと思うケーキを用意しておき、渡したのだ。その最後の日、会社を退けてからまっすぐ帰ったはずはないだろう。飲み会などで楽しくすごしただろう。そのとき、さぞかしケーキは邪魔だったに違いないと思う。

毎回、毎回、ちっともいい先輩じゃなくて、いい仕事もできてなくて、最後まで迷惑かけちゃったんだなと、それまでの私の彼女の関係を、最悪の気分で総括してしまった。彼女、きっと私からのケーキを食べたくもなかったろうなとか、邪魔で捨てたかも知れないなとか、おいしいもの好きの人だったからかぞかし恨めしかっただろうななど、どんどん想像が悪い方に動いていく。

幸せの象徴であるはずのケーキを抱えながら、あの時代の鈍感な自分に再会して後悔ばかりが浮かびあがっていた。

家に着き、無事、ほぼ無傷のケーキを見た家族は大喜びだ。一瞬で笑顔が広がる。さっきまでの重い気持ちを心の底の方に押しやって、私も笑顔を作る。

食べる人、作る人、贈る人…どれをとっても、ケーキには特別なストーリーがあるものだ。時にはやけ食いなんてときもあるだろうけれど、いま、せっかく家族で楽しんでいるとき、過去のドロドロな気持ちをわざわざ掘り出すような思考はやめよう。その日はそう思って、みじめな気持ちに蓋をした。本当は、泣きたかったのに。本当は私にはちょっと甘かったケーキだったけど、「おいしいね」と声のトーンを上げて食べた。

Img_9519

今日、落ち込むかと思ったら逆だった。気持ちがすがすがしかった。失敗や至らなさや鈍感さばかりでできている自分に押しつぶされそうだった昨日とは大違いだ。

私自身はもちろん変わっていない。だけど、心のどこかでくすぶっていた、まぶしい後輩とたいしたことない自分の現実をようやく総括できたようだ。心の中だったけど泣いたら、何かが浄化されのだろうか。

やるべきこと、私に足りないものが少し整理できた。同じ後悔をしたくなかったら、後悔しないよう実践していくしかない。

そんなスゴイ決意表明じゃないけれども、ケーキと一緒に、私にとって新しい日が来た気がしている。

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