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2014年1月19日 (日)

「舟を編む」と私の校了

活字に関わる仕事をしているせいもあるのか、ぐっと引き込まれて読んだのが、三浦しをんさんの「舟を編む」。辞書を生み出すエネルギーがいかに膨大で根気や情熱を必要とするかは想像に難くない。こんなに長く一冊の本のためにエネルギーを継続させられるかというとハイとは言えないだろうが。

私もちょうど一冊の本の仕事を終えた。その最終作業をしている最中、移動時間にこの本を読んだ。

私が関わったのは、一から言葉を拾う辞書とは対照的に、かつて掲載された内容に追加取材をし、内容をやや書き改めたものだ。イチから新規取材できればよいが、20年前に取材費がそこそこあった時代とは違い、出版界はまだまだ不景気の風がびゅんびゅん吹いている。以前のネタを活用して新しく見える本を作ることは、やりたい仕事とは言えないけれど、必要とされている。

数十人体制で5校まで校正をする馬締さんの辞書づくり。さて私は、1人で2校。編集、ライター、校正をすべてやる。116ぺージと、規模はなんとささやかなものか。それでも気持ちは追い詰められ、間違いがあってはタイヘンと目を皿のようにして臨んだこの2週間。

それが終わり、いま、開放感の中にいる。そんな規模だから打ち上げというものもないのだが、ひとりで「舟を編む」の馬締さんの気持ちを想像しながら、活字を扱う仕事の責任から少しだけ開放された気分を、お酒と一緒に浸った。

間違いがないよう、取材先の人の気持ちを裏切らないよう、そしてこれから手にとってくれるだろう読者に、少しでも新しくて役立つ情報を加えることを念頭に置いて作業をしてきた。

好きだけれど、地味な仕事だ。今回は、「舟を編む」のおかげで、自分の周囲に同じような地味な仕事を黙々とする見えない仲間の気配を感じて、校了の気分を過ごせた。

次の仕事は、もっと言葉を大切に使った内容にこだわろう。リライトという作業は、私の場合、以前の文章をそれほどこわしたくないために、自分で文字を選んで文章を書くより、少し言葉の使い方が軽くなっていた思う。いま手元にある辞書類の、それらを作った人々にも敬意を表しながらもっと自分で選んでいこう。

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